2016年6月22日水曜日

VOL・110 サムシングスペシャル  2010・02

作り手は何か特別なものを生み出そうとする。

買う人もその時のマインドに従い自分だけの(つもりの)一着を探す。

本物といわれる超高級なものほどベィシックだが完成度の高いものづくりをする。

その次位のクラスターのものづくりになると、流行もので一発当てよう的なマーケティングをもとに、

利潤を生む確率の高い所に集中させる。しかし流行の変わり目を予測できなかったり経済が緊縮

した時など大量の在庫となり、お洒落だった筈の物がセール品として売られる。

そして最も価格帯の安いクラスター。バレないとこには手を抜いてコストと売価を押さえ込む。

この辺のスーツになると定番っぽいといえば然りだが、なんてことない感じが溢れていて

サムシングスペシャルは感じられない。アイデンティティを消去された生活衣料だ。

話題になった千円以下のジーンズを考えてみるといい。

作り手、売り手、買い手の誰がシアワセになれるのだろうか。

少しぐらい高くても、絶対にこれが欲しいと大枚はたいて購入した経験は誰にでもある。

今となっては何であの時買ってしまったのか悔恨の念が残るだけ。そんな後悔をしない為に、

サムシングスペシャルをどのように見出すか。

まず奇抜な色柄を選ばない。渋めなくらいがちょうど良い。それより大切なのはフォルムだ。

技術が裏付けした流麗なフォルムならば紺やグレーの無地で充分だ。

シャツは白かブルー、あるいはシンプルな柄物。これ以外何もいらない。

メンズ誌の海外スナップに登場するファッショニスタ達のスーツのコーディネイトは以外に簡単だ。

デザインや色柄が変わったものを個性とは評価しないようだ。

彼らのサムシングスペシャルは、素材の良さ、身体に合わせた完璧なフォルム、

雑味のない色合わせである。

0 件のコメント:

コメントを投稿