私は服飾雑誌が行うアンケートの結果を鵜呑みにしない。理由はこうだ。
アンケートは試験ではないからひとつの解を求めてはいない。
そこで人は自分の本心(心根)ではない表層の答えをしてしまう。
ジャケットにかける予算は?に対して、相場を考えながら、あるいはそのときに欲しい物の価格を
思い出して、手の届かない金額にチェックをしてはいないだろうか。
好きな色は?一度も着たことがなくても流行を加味して、流行りの色にマルをしていないだろうか。
昨今は洪水の如く黒い服ばかりだが、本当に黒が好きなのか、それしか売られていないから選択
肢がないというのが本音なのではないだろうか。
洋服の仕事をしていても、街であまりにもファッショナブル?な人を見ると引いてしまう。
服を着るという行為を勘違いしていると思うからだ。
「僕って、私って、ファッショナブルでしょ」という心根の声が聞こえてくる。
少々仲良くなったりすると、これはどこどこのブランドの新作で・・・なんて会話が出てきそうだ。
人の魅力というものを考えてみるといい。ファッショナブルだから魅力的なのではない。
一生懸命考えて、誰かの為に服を着る。クライアントや同輩や彼女や奥様の為に。
そういう心根が魅力的に見せるのだ。それならば、必要の度を越えたデコラティブな着こなしを
する事もないだろう。
女性をエスコートする。それほど大袈裟ではないにしても一緒に行動する時に、あなたの為に
ちゃんとした格好をしてきたと察してもらえれば、こんなに嬉しいことはない。
先方も必ず気付いてくれる。街で見かける若いカップル。女の子たちは可愛らしくしているのに、
横のお兄ちゃん、着こなし汚すぎませんか。
顔ではなく服が美女と野獣になっていると思うのだけれど。
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