2016年6月22日水曜日

VOL・115  心根  2010・07

私は服飾雑誌が行うアンケートの結果を鵜呑みにしない。理由はこうだ。


アンケートは試験ではないからひとつの解を求めてはいない。

そこで人は自分の本心(心根)ではない表層の答えをしてしまう。

ジャケットにかける予算は?に対して、相場を考えながら、あるいはそのときに欲しい物の価格を

思い出して、手の届かない金額にチェックをしてはいないだろうか。

好きな色は?一度も着たことがなくても流行を加味して、流行りの色にマルをしていないだろうか。

昨今は洪水の如く黒い服ばかりだが、本当に黒が好きなのか、それしか売られていないから選択

肢がないというのが本音なのではないだろうか。

洋服の仕事をしていても、街であまりにもファッショナブル?な人を見ると引いてしまう。

服を着るという行為を勘違いしていると思うからだ。

「僕って、私って、ファッショナブルでしょ」という心根の声が聞こえてくる。

少々仲良くなったりすると、これはどこどこのブランドの新作で・・・なんて会話が出てきそうだ。

人の魅力というものを考えてみるといい。ファッショナブルだから魅力的なのではない。

一生懸命考えて、誰かの為に服を着る。クライアントや同輩や彼女や奥様の為に。

そういう心根が魅力的に見せるのだ。それならば、必要の度を越えたデコラティブな着こなしを

する事もないだろう。

女性をエスコートする。それほど大袈裟ではないにしても一緒に行動する時に、あなたの為に

ちゃんとした格好をしてきたと察してもらえれば、こんなに嬉しいことはない。

先方も必ず気付いてくれる。街で見かける若いカップル。女の子たちは可愛らしくしているのに、

横のお兄ちゃん、着こなし汚すぎませんか。

顔ではなく服が美女と野獣になっていると思うのだけれど。

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