2016年6月22日水曜日

VOL・117 シャツに異変が  2010・09

男性的(女性的?)な豪雨のあとに猛暑がやってきた。

クールビズという安易に薄着を提唱するお題目。

ビジネスシーンにおけるシャツを摩訶不思議なものに導く風俗的なちからを倍増

させてしまったようだ。

元来ドレスシャツ(Yシャツ)はスーツやジャケットなど上衣の脇役としてのポジションを

全うしてきた。ところが、「上衣を着るな」、「ネクタイをするな」と指示が下ると徐々に

デコラティブなものに変わって来た。

カラーステッチや二枚襟、、台襟のドゥエボットーニ(二個釦)やトレボットーニ(三個釦)、

柄布を見返しに用いたものなど・・パジャマを着ているのかと驚いた。カジュアルなら未だしも、

ドレスシャツの場合、内外の一流のシャツメーカーはそのような提案をしていない。

主に東アジアにおける特異なものである。しかも低価格なものが多く、品質は・・・?

美しい着こなし、ことスーツの場合、スタイルつまり様式美が確立されている。

ジャケットやアメリカンスタイルのスーツに合わせるシャツを除いて、ボタンダウンシャツは

軽いというか、衿先の釦にカジュアルなニュアンスを感じるはずである。

スタイルよりも利便性で服を選んでいるのだろうか。本格スーツに合わせるシャツは

ワイドスプレッドカラーに止めを刺す。これが長い間培われた様式美というものである。

バランスの良い着こなしができている人は、何を着るときもこの様式美が念頭にある。

自己流が一番いけない。基礎がなければ応用もできない。基礎のない人々に追い討ちを

かける様な作り手の安易な物作り、売り手の稚拙さ。

着る物なんて趣味嗜好であるから人様の勝手なのかもしれない。しかし、嗜好の方は

別にしても趣味の方には良し悪しがある。十分に年齢を重ねているのに、品性を感じさせない

シャツを何の疑問もなく着てしまう趣味はいかがなものだろうか。

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