VOL・12 紳士入門 ２００１・１２

本当の紳士とは、一定の型にはまるほど単純なものではなく、生き方に対する精神性で

あるのだが、着こなしの視点で考えてみる。

我々、スーツ屋、つまり見てくれ請負人が考える、どうしたら紳士然と見えるか？

品のある着こなしの前に、品のある人，無い人は明らかに存在する訳で、こればっかりは

体内分泌物の濃度に支配されているのではないかと思うぐらいに個人差がある。

何かを習う事というのは、全て模倣から始まる。着こなしに品がある人の物真似から始め

ると良い。誰かを師匠としてイメージする。人と違う物を求めるのは少し先の話。スーツの薀

蓄などは、店のスタッフと話すべきもので、他人にひけらかしてはいけない。売り手の側にも

問題があって、服ばかりを売ろうとしているのがほとんどで、服装という付加価値を忘れてい

る。服は金銭で買えるが、服装は学び考えるものである。

スーツの着こなしが品よくできる紳士は作業衣で庭いじりをしていても、やっぱり紳士に見える筈。