今や、英国・イタリアのスーツは世界各国で販売されている。
そして、世界の風を浴びて各国のスーツの特徴が同化しつつある。
仕立ての考え方やフォルムの設計などかなりミックスブラッド化していると言っていい。
スーツに対する考え方を敢えて各国の最大公約数でくくってみる。
各論での例外は承知の上である。
スーツの日本への導入、あるいは影響の時系列は、アメリカ、英国、イタリアの順だろうか。
まずアメリカのスーツ。
サクセススーツの名の通り成功者の着こなす物である。成功とは職業上の成功である。
成功していなくても成功者の着こなしをする。だからアメリカのスーツブランドは平準化した
フォルムが多く、合理化された大量生産に向いている。ヒップの大きさからか、あまり細身には
作らない。合わせるシャツもゆるめが多い。
次に英国のスーツ。
世界のスーツのオリジンではあるが、最大の関心事は正しく着こなしているかどうかということで
ある。クラシックな服であれば、サイズや格好いいかどうかは二の次である。人前で上衣を脱がな
いので、シャツのフォルムも気にしない。見えている襟とカフスがちゃんとしていればいい。
さて、イタリア。
セクシーで格好良く決めることに命を懸ける。柔い流れ落ちる素材を好む。
が、固く重い生地が逆張りで格好いいとなれば喜んで用いる。上衣を脱いでも指を襟に掛けて
肩に背負う。その時の格好良さも忘れていないから、シャツのフォルムにも気を遣う。
ネクタイを取れば、厚い胸板をさらけ出す。
おまけにニッポン。
軸になるものは何も確立されていない。○○風とかのイメージで着るコスプレ大国である。
イメージは気こなしの源泉だから大いに結構。イメージすらない大人が多すぎる。
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