2016年6月16日木曜日

VOL・15 準注文服  2002・3

スーツ(あるいは服全て)というものはあくまで着手を引き立てるべき物である。

物として独り歩きをしてはならない。

クラシックスタイルの服は本来、注文服を中心として手仕事が主で、好事家、裕福層にしか


入手できなかった。その対極に合理化し量産を行う既製服があったのだが、注文服の作り

込みを盛り込んだ準注文服とでも言うべき服が出現している。

前号で三位一体という話をしたが、テーラーと顧客には相性がある。両者の考え方が一致


しないところに価値は生まれない。完璧なことを言えば、注文服に止めをさすが、その店の


同じ思想に依る既製服にはお買得が多い。平均寸法で作られた服だけに、サイズが合う方


にはお薦めできる。


 美が中心とされた英国服から、軽さと巧みな加工を施したイタリアのクラシックスーツ。


私のところでは、この春から両者の良いところを組み合わせたスーツを販売する。


つまり、イタリア的な技術、手法で英国風のルックスを表現してみたいと思っている。

当然、注文服に負けない「準注文服」である

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