着こなしの主役たる上衣。服装術における基本のアイテムである。
服装術という云い方をすれば、ストイックな味わいを持つ英国流の方が
筆者の好み(というより憧れ)である。
各国別の洋服スタイルには必ず、○○クラシック(たとえばイタリアクラシック)なる言い方が
存在する。このクラシックという言葉には、「英国的ストイックさ」という意味を含んでいるように
思う。だからクラシックな服は老若に関係なく、またその服の新しさに関係なく少々くたびれて
いても格好いいものである。もっと言えば、人も服もエイジングが必要で、仕立てとセンスの良い
服と共に歳を重ねるのが良い。新しすぎもせず、古すぎもしない程の良さこそ英国流服装術で
ある。
秋冬のフランネルやツイード、春夏のコットンやリネンを英国のニュアンスで仕立てる。
技術的には、イタリアの手法の方が優れているから、両者の折衷ぐらいが良い。
昨今は、必要悪的な包容力の無い服が多くなった。違いが分からなければ、安いに越したことは
ない。安く売るために企画・生産された、志の無い作り手の服はいくらでも安く入手することができ
る。不景気だから不節操で良いとは思いたくないのだが。
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