2016年6月16日木曜日

VOL・22 上衣についてⅡ  2002・10

着こなしの主役たる上衣。服装術における基本のアイテムである。

服装術という云い方をすれば、ストイックな味わいを持つ英国流の方が

筆者の好み(というより憧れ)である。

各国別の洋服スタイルには必ず、○○クラシック(たとえばイタリアクラシック)なる言い方が

存在する。このクラシックという言葉には、「英国的ストイックさ」という意味を含んでいるように

思う。だからクラシックな服は老若に関係なく、またその服の新しさに関係なく少々くたびれて

いても格好いいものである。もっと言えば、人も服もエイジングが必要で、仕立てとセンスの良い

服と共に歳を重ねるのが良い。新しすぎもせず、古すぎもしない程の良さこそ英国流服装術で

ある。

秋冬のフランネルやツイード、春夏のコットンやリネンを英国のニュアンスで仕立てる。


技術的には、イタリアの手法の方が優れているから、両者の折衷ぐらいが良い。

昨今は、必要悪的な包容力の無い服が多くなった。違いが分からなければ、安いに越したことは


ない。安く売るために企画・生産された、志の無い作り手の服はいくらでも安く入手することができ

る。不景気だから不節操で良いとは思いたくないのだが。

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