曖昧になってきた感があるが、日本には四季がある。
そして衣更えがあり、ひとつの節目になる。
温暖化しているとは言うものの福岡では夏と冬の最高気温で、
約25度以上の差があるから、シーズンごとにスーツを揃える必要がある。
大きな変化を見せているのは、主に秋冬の服地である。
たとえばフランネル。
昔の物と比べると約三割軽くなっている。ツィードや梳毛スーツ地も同様である。
冬の雰囲気を出す為に、ウォーム感のある仕上げは施されているが,
生地は明らかに軽く・薄くなっている。
春夏の服地では,柔らかさやヌメリを中心とした風合いより、ハリやシャリ感を表現したものが
増えている。強撚糸や、モヘアをブレンドした物だ。
昔懐かしいモヘアポーラ、トニックモヘアなどリバイバル中である。
春夏と秋冬というように1年を2つに分けたのは、意味がある。
スーツを中心に売る店は1年をそのように分けて物づくりをしている。
日本には間物(あいもの)という表現がある。
美しい四季をもつ国の表現である。しかし、スーツにおいては、あまり必要のない物だと
考えている。着用できる期間が短く、逆にいつ着ても中途半端に感じるからだ。
間物を着ることのできる快適な時には、夏物でも冬物でも着ることができる。
ならば、ベクトルに従って、次のシーズンに突入した方がお洒落に感じるのではないか。
1年中とまではいわないが、真夏と真冬を除く十ヶ月(テンマンス)着れるスーツ用の服地として、
フォーシーズンと称される生地を各社販売している。それが有用かどうかは生活地の気候に
依るから、即答は出来ない。季節感はスーツの味であるが、季節感を消してみせるのも
スーツの着方である。
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