2016年6月19日日曜日

VOL・53 フォーシーズン  2005・5

曖昧になってきた感があるが、日本には四季がある。

そして衣更えがあり、ひとつの節目になる。

温暖化しているとは言うものの福岡では夏と冬の最高気温で、

約25度以上の差があるから、シーズンごとにスーツを揃える必要がある。

大きな変化を見せているのは、主に秋冬の服地である。

たとえばフランネル。

昔の物と比べると約三割軽くなっている。ツィードや梳毛スーツ地も同様である。

冬の雰囲気を出す為に、ウォーム感のある仕上げは施されているが,

生地は明らかに軽く・薄くなっている。

春夏の服地では,柔らかさやヌメリを中心とした風合いより、ハリやシャリ感を表現したものが

増えている。強撚糸や、モヘアをブレンドした物だ。

昔懐かしいモヘアポーラ、トニックモヘアなどリバイバル中である。

春夏と秋冬というように1年を2つに分けたのは、意味がある。


スーツを中心に売る店は1年をそのように分けて物づくりをしている。

日本には間物(あいもの)という表現がある。

美しい四季をもつ国の表現である。しかし、スーツにおいては、あまり必要のない物だと


考えている。着用できる期間が短く、逆にいつ着ても中途半端に感じるからだ。


間物を着ることのできる快適な時には、夏物でも冬物でも着ることができる。

ならば、ベクトルに従って、次のシーズンに突入した方がお洒落に感じるのではないか。

1年中とまではいわないが、真夏と真冬を除く十ヶ月(テンマンス)着れるスーツ用の服地として、


フォーシーズンと称される生地を各社販売している。それが有用かどうかは生活地の気候に

依るから、即答は出来ない。季節感はスーツの味であるが、季節感を消してみせるのも

スーツの着方である。

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