2016年6月19日日曜日

VOL・59 テーラーの視点  2005・11

ひょんな事で、車を買い替えた。

昔から車だけはなぜか英国車贔屓で、前の車は新車で買って9年も乗った。

今度のは、本国のメーカーが破綻してしまったので、入手困難になる。

今しか買えない物もあるというエクスキューズで購入に踏み切った。


イタリアの風景といえば歴史的な建物と、狭い路地を走り廻る小型車。

対してイギリスの建物や道行く人々や車などが渾然一体となった様は、

自分の好みなのだろうと感じている。

車の購入を七、八割心に決めて、ディーラーを訪ねた。比較的新しいショウルームは整然と

していてきれいだ。さらに驚いたことに、担当してくれたM氏をはじめ、営業スタッフがすごく


ちゃんとしている。ちゃんと、と言うのはスーツを普通にちゃんと着こなしているということだ。


これが、以外に難しいのだ。人が一生のうちで、購入する物の中で、車は住まいの次に高価


なものである。そんな物の販売にあたるのだから、当然なのかもしれないが。どのスタッフも

清潔感があり、セールストークも爽やかだ。きっと、社風と教育と個々の資質の賜物なのだろう。

奥のオフィスで上衣を脱いで、デスクワークをしていて、客の前に出る時には、颯爽と上衣を

羽織りながら近付いて来る。その瞬間、商談はこれからだが、この人から買ってもいいかなと

思ってしまう。

私の場合、職業柄なのだが、どうしても外見には敏感だ。さらには、それぞれの人がその外見に


至るまでの、メンタルな動きを読み取ろうとする習慣がある。個性と勘違いして、不可思議な

着こなしに走っている人がいかに多いことか。ビジネスマンのスーツは、普通のいい物を選び、

普通に着こなす。つまり奇をてらわず良く出来たスーツを体に合ったサイズで着る。

スーツをうまく着こなすには、これ以外の方法はあり得ない。

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