2016年6月16日木曜日

VOL・6 服飾美学  2001・6

タイトなフォルムなのに、窮屈にみえずリラックスできるスーツ。

昨今、世界中のスーツ屋はナポリのクラシコスタイルをお手本に四苦八苦を繰り返す。

ルーズフィットな服や大きいアームホールの服が決して着易い服ではなく、自分を大きく見せる為

だけの下劣なものと認識する人がやっと多くなってきた。

相手を威圧するでもなく、自分を誇張するでもない品性(スタイル)のある服。

ブランド好きの女性たちに、ちやほやされることは無いけれど、成熟した大人の味を醸し出す。

スーツ人口の減少が、逆にスーツの進化・熟成をもたらす。

スーツを着ない人々、着なくてもいいビジネスマンが増えたおかげで、

いいスーツを格好良く着ようという人が多くなった。

必要悪と考えてスーツを着る人たちは、2万円でスーツ(の形をした物)は


購入できる時代だから、そちらを買えばよい。

立体的な美しいスーツがそんなに安値で入手出来る訳がない。

洋裁の心得のあるご婦人はお分かりと思うが、曲線と直線、または曲線と曲線を縫い合わせ


る事がいかに難しいか。その後のアイロンによるクセ取りがいかに大変か。


たかがスーツ、されどスーツである。

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