2016年6月19日日曜日

VOL・64 着こなしは3D  2006・4

服の着こなしは、何を選ぶ(作る)かに大きく左右される。

購入するショップ、そこで提案をする販売員のスキルがすべてを決めてしまう。

着手がスーツを選ぶ前に、ショップのバイヤーが物選び、あるいは物作りをしている訳だから、

その眼力にズレが生じない限り、まかせて安心な筈である。

同じように見えるスーツ、あるいは全く同じスーツでもお洒落に見える人とそうでない人がいる。

何が違っているのだろうか。

いいスーツには立体感がある。

逆に言えば、お洒落に見えないスーツは平べったい印象を与える。

太っているとか痩せているとかいう事ではなく、服が平たく抑揚が無いのだ。

具体的には、第一にフォルムとして立体感があること。

豊かな胸からウエストへの流れるようなライン。ゆるやかにカーブした袖と複雑に

パーツが重なる袖付けの立体感。最も重要なのは柔らかく返るラペル(下襟)。

これがつぶれたスーツは貧相な印象しか与えない。

組下のパンツは、フィットしたウエストとヒップから、渡り、ひざ、裾と

流れるようなシルエットが必要だ。

コーディネイトするいいシャツにも立体感がある。

上衣を着用するから、Vゾーンにだけ絞って説明すれば、首周りに沿ったほど良いサイズの襟。

精緻な織、あるいは柄。その襟のトンネルから結び下げられたネクタイ。大雑把でなく、

きれいに立体的に結ぶ訓練も必要になる。

着こなし上手のVゾーンには、陰影が出来ている。ラペルの返り、シャツの襟、ネクタイの結び。

胸元に花を添えるポケットチーフもまた、立体感を作り出す小物である。

いいスーツがもつ立体感、そして着こなす事に依ってさらに生まれる立体感。

お洒落な人は三次元の着こなしを身につけている。

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