2016年6月19日日曜日

VOL・69 メンテナンス  2006・9

スーツ・ジャケットの手入れは、ブラシ掛けとスチーム通しにつきる。

大昔から最も頼りにされてきた手法だ。この現代に何を原始的な、と思う方もいるだろう。

ドライクリーニングがあるではないか。確かにその通りではあるが、汚れやシミを落とす

クリーニングは完ぺきでも、プレスに難点があったりする。クリーニング屋の店頭で、

自分の服が、無造作にブルーの籠に投げ込まれるのを見て悲しくなった経験のある方も

多いだろう。

クリーニングとひと言で言っているが、一般的にはクリーニングとプレスをセットにしてそう呼んで

いる。スーツの作り手には町のドライクリーニングに否定的な人も少なくない。

さらに、スーツにアイロンを掛ける作業は高度な技術を要する技である。

上衣は本来、体に直接接触しない事になっていた。しかし最近の着こなしでは、Tシャツの上に

直接羽織ったりするから、襟や袖口の汚れは作り手の想像を超える場合もある。

着手が自ら上衣を汚している訳だ。そうでなければ、ブラシ掛けで、埃を落とすだけで充分。

シミは個別に取ればよい。

そしてスチーム(蒸気)の効用。スチームは服地のシワを取り、ひじなどの力が加わって伸びた

分を復元させる。さらに不快な臭いも取ってくれる。旅先のホテルなどのバスルームに熱湯を

出して蒸気を充満させ、そこに上衣を吊るしておく。思ったより効果がある。生地に依っては含水し

て伸びてフニャッとなる場合もあるが、乾燥すれば元に戻る。間違っても直接濡らしてはいけない。

ホテルのバスタブを用いる場合は、ハンガーやカーテンレールのチェックをお忘れなく。

気がついたら上衣がハンガーからバスタブに滑り落ちて、のんびり入浴してたなんて事になったら

目も当てられない。

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