2016年6月19日日曜日

VOL・71 表情のあるグレイへ  2006・11

巷では、イメージとしてのブリティッシュスタイルがトレンドとして居座っていた為だろうか、

襟幅の狭い二つ釦のスーツが主流になった。

釦の数や襟幅でスーツの本質を語りたくない質なのでその話はここで止める。

本題はその色である。ネイビーは 定番の売れ筋最右翼。

ところがこの数年、フォーマルではないブラックのスーツが幅を利かせている。

無地、柄物ともに多く出回っている。選択肢の少ないメンズスーツの中では

最も自己主張の強い色の部類に入るだろう。

統計を取ったわけではないが、 安価なスーツほど黒が売れている筈である。

ここで言う黒とは純黒の事で、「黒っぽ い」の範疇に入る濃紺やチャコールグレイは含まない。

日本には「ドブネズミ」とい う悪しき呼び名が残っている。

考えてみれば単に色だけでなく、一時代前のヨレヨレのスーツを着ていたサラリーマンを

例えたのだろう。  グレイと言ってもその色の幅はとても広い。

白にほんの僅かに色が付いた程度のライトグレイから、黒寸前のチャコールグレイまで。

白と黒で柄を構成する千鳥格子やグレンチェックなどもグレイとして扱っていい。

今年は、ミディアムグレイあたりが気分だ。地味に見えるこの色だが、

生地の品質がストレートに発揮されるし、上質な グレイの艶はエレガントこの上無い。

地味を返せば、シックという事になる。決して 「ドブネズミ」に見せない為にはVゾーンを

少しシャープに仕上げるといい。白やブルーの上質な素材のシャツに、なるべく品の良さを

感じる無地やフーラード(小紋)の ネクタイ。最近流行りのパープルタイはうまく使いたい。

意外だが少し下品に映って しまうかも知れない。

色目を抑えてノーブルにコーディネイトするのがこの秋のお薦め。

我々の先人の和装にも粋なグレイが多いではないか。

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