67話では、イタリアの街並みの美しさが、モノを作り出す為の愛(力)やセンスを育むと述べた。
街全体が世界遺産に指定され建物を壊せない。石の建物は何百年も外観を変えず、
中の店だけが変わっていく。壮大な歴史の力に圧倒される。
翻って、我が国。
商(マネー)しか見えない窮屈な商業施設で服を買い求めても着て行くところが無い。
スーツは職場に着て行けばよいのだろうが、半ば、いやいやテキトーの着ていては、
街も美しくなろうはずが無い。着手だって風景の一部として責任があると思うのは私だけか。
無機質なビル群が集中する天神から少し離れて贅沢な空間を提案する「季離宮(ときりきゅう)」と
名付けられた施設が誕生した。路地から入るアプローチには、何本もの木が植えられ、
この奥の建物には一体何があるのだろうと興味をそそる。
飲食店やインテリアなどのショップが場所を占める。どの店も優しさを感じさせる。大人の空間だ。
やられた! やがて緑が茂り、建物が少し朽ちて風合いが出てくると、そこに働く人、客として訪れ
る人を引き立たせる。
施設のパンフレットを開いてみると、アパレルのショップが入居していない。
テイストが突出してしまうのを嫌がってのことだろうか、私には正しい選択として感じられる。
天気の良い日も、雨の日も、そして、雪の日もそれぞれに味わい深い空間になりそうな気がする。
こういう場所にこそ、男性はよく出来たスーツやジャケットで訪れたいものである。
そしていい奴を演じている自分に溺れてみるのもいい。
この場所は人の性格までも優しく変えてくれそうな気がする。
広い中庭があり、宮殿や屋敷を改装したホテルやレストランやショップはイタリアにはいくつも
あったっけなァ。
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