2016年6月19日日曜日

VOL・77 アンダーステイトメント  2007・5

お洒落な人と、流行の服(アイテム)を着ているだけの人とは別である。

言い切らせてもらうとすれば、完成度が高くバランスの良い着こなしは意外だが

印象に残らないものだ。野暮な没個性のすすめをしている訳ではない。

やたらと派手、妙な色合わせ、サイズが合っていない、だらしない、汚いなどの方が

負の印象として強く残ってしまうと思うのである。

何とも変わった服を着る事をお洒落と勘違いしている人々は、自分で自分の事を思っている程、

周りの人は洒落ているなんて思ってはいない。服は自己の好みで着ればいいという意見に

反対はしない。しかし、その一風変わった服さえ着ていれば、お洒落に見えていると思ったら

大間違い。服はある意味、情報であるから、時(時代)と場所(ロケーション)の二つの座標軸に

支配され洒落っ気の度合いが決まってしまう。昔トレンドともてはやされた服も、

今となっては過去のものだ。

服だけが独り歩きしていない、印象に残らない着こなしは、逆にその着手を強く印象づける。

自己主張が足りないとかいう事とは次元の違うものである。造形やデザインの世界で

一流の仕事をしていながら、着ているものは風変わりなだけという人は結構いるものだ。

エクストリームな着こなしでイメージづけるより、アンダーステイトメントな方が

「粋」というものではないか。「品が良い」とか「知的な」と表現される着こなしには、

どこかしら控え目な要素は欠かせない。

クラシックとモードの際が消えそうな時代である。

ビジネスマンのスーツは、これ見よがしなイメージでは、相手に邪念を感じさせてしまう。

そうならない為にも、クラシック濃度の高いスーツにとどめを刺すと思うが、いかがだろうか。

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