2016年6月20日月曜日

VOL・91 クラシックスーツ再考  2008・07

辞書を引いてみる。

CLASSICの一番の意味は「最高級の」、「第一流の」、「模範的な」である。

クラシック音楽やクラシックカーとして用いる「古典的な」という意味は二番目にくる。

もとよりCLASS「最上級」を原義とした言葉である。

クラシックスーツとは、完成された服、しかも古典的どころか現代的なものである。

デザインされたスーツに対してクラシックスーツと表現する。

しばしば、「トラッドとは違うの?」という質問をいただく。広義には同じであると思うが、

トラッドという場合、クラシックのアメリカ的表現を指しているように思う。

欧に比べると米の方は、合理化された大量生産のにおいを感じてしまう。

メンズ雑誌では靴の特集で「本格靴」という言葉を用いる。

素材や製法等、手抜きのないものを言うのだろうが、表現を拝借すれば、

クラシックスーツは本格スーツと言い換えられる。

デザインされたスーツが出てこなければ、とりたててクラシックやトラッドという言葉を用いなくても

良かった。デザインされた服を好む人々は、その服の魅力がさらに自分を引き立たせてくれるもの

と勘違いする。させられていると言ってもいい。

その点クラシックスーツは他に対しては礼節と上品さを、自分に対しては着心地の

良さを与えてくれる。

仕事で身に着けるスーツを世界では「パワースーツ」と呼ぶようになって久しい。

男たちが生きていく知恵を出し合うときに着るスーツのことである。

環境問題=クールビズということは、悲しいかな、今までスーツというものを理解しないで

習慣的に着ていたとしか思えないのである。

スーツやジャケット、ネクタイが、二酸化炭素を排出するとでもいうのだろうか。

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