「SENZA INTERNO」和訳は「詰め物なし」といった感じ。
スーツやジャケットの仕立ての手法で芯地や肩パッドや裏地を少なくするか、
または用いないで上衣を構築していく仕様のことである。
もともとイタリア、あるいはイタリアを標榜して作られた上衣は柔らかく軽い芯地を用いる。
それによって動きを妨げない軽い着用感を実現する。
古典的なテーラーは未だに、分厚い肩パッドを用いて肩に載せて重力に任せて
垂れるように落ちていく上衣を作っている。しかも堅くて重い芯地を用いた皺ひとつ出ない
張りぼて上衣だ。吟味して涼しげな生地を選んだ効果さえ打ち消してしまう。
ビジネスマン諸氏が、オフィスに着くなり、あるいは夜の席で上衣を脱ぎたがるのは
そのほうが快適だからであろう。
そこで、センツァインテルノ。クールビズ?歓迎派には理解してもらえないかも知れない。
芯地の力を借りずに、高レベルなカッティングと縫製技術で、美しい立体的フォルムを作り上げる。
しかも軽くて動きやすい。シャツやカーディガンのような着心地である。
動いているうちに少々の皺が現れるが、それもまた味である。
芯地の力で表地にツンツンと張力を与えている服よりもナチュラルで魅力的に映る。
縫い上げる職人からすれば、シンプルすぎる構造なだけに、誤魔化すところがなく
技術的には難易度が上がってしまう。
スーツをきっちりと着こなし、お洒落をするということは、相手への思いやりであり礼儀である。
クールビズという提案が最もよろしくないところは、相手への無礼を孕んでいる事である。
夏らしい風抜けの良い素材を用いて、センツァインテルノで仕立てたスーツやジャケット。
風になびきそうな襟や、軽快な着心地が生み出す身のこなしは、半袖シャツよりも見る人に
涼感を与えてくれる。
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