ウィークディの午前零時、日本航空が提供しエフエム東京から各局へ配信されている長寿番組で
ある。イージーリスニング的な音楽に散文詩的な旅の情報を交えて放送されている。
94年までの27年間、今は亡き声優の城達也氏がナレーションを担当した番組は、
まだ少年時代の筆者を虜にした。限られた人しか海外に行けない時代であった。
番組の方は内容の変遷を経て、今では昔のスタイルに戻り、伊武雅刀氏がナレーションを
務めている。
城達也氏は「ローマの休日」のグレゴリーペックをはじめとした吹き替えで有名な声優で都会的で
洗練された大人の声の魅力に子供ながらワクワクしたものだ。今でも氏のナレーションによる番組
を収録したCDは売られていて人気を博しているようだ。私も手に入れて、1日の終わりの癒しの時
間を過ごさせてもらっている。最初に「ミスターロンリー」が流れ、城氏のナレーションがかぶって
る。飛行機など誰でも乗れる時代ではなかったから挿入される操縦席の声やジェットエンジンの音
に憧れたのを思い出す。燃油サーチャージで割高感のある国際運賃であるが、当時ヨーロッパや
アメリカに行くのにいか程の費用を必要としたのだろうか。通貨価値まで含めて算出したら相当な
額になるだろう。
センスの良い語り口調の中に、ファッション的な言い回しがあったりしたら、たまらなく憧れた。
世界各地にワープしたものだ。
ローマ編のくだりをひとつ。「ヴェネト通りに熟れた夏の日のローマ・・・(中略)・・・それから、
なおもそれから、日が暮れて、夜が更けるまでの長い時間、ズボンの折り目が気持ちよく通った
伊達男たちへ、大きく開けた胸元に自信ありげな娘たちが気の利いたおしゃべりと飲み物を交わし
にやってきて、甘やかな香水のか・お・りを幾重にも重ねていくのだ」
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