極寒の2月、スーツに限らず暖かくしてくれる服というものは、
親しい友人のように思えるものである。
保温性だけでなくお気に入りのデザインだったりしたらその親しみは倍増する。
では暖かい服は、なぜ暖かいのだろうか。
最近は発熱するハイテク素材もあるが、過去からずっと用いられている天然素材においても
暖かさの根拠がある。生地が厚いから、起毛しているから、ふんわりしているから、
あながち間違いではないが、もっと深く考えてみる。
服の暖かさ(保温性)に最も関係があるのは含気性(抱気性)である。
厚手の生地や起毛素材が保温性に富むのはこの為であり、断熱材としての生地が空気の層を
形成している。中綿素材やダウン(羽毛)などの充填材料は、さらに空気を多く抱くことになるので
暖かいのである。アウトドアやサバイバル的なレベルの衣料に関しては、お隣のページの赤津さん
のほうが、より専門的に明るいのではないかと思う。
続いて熱伝導率の高い素材。
化学繊維のウィンドブレーカーや皮革製品、それ自体は熱伝導率が大きく本来は保温性に
富まない。常温での金属がひんやりと感じるのは、熱伝導率が高く、体温が奪われる為に
冷たく感じるのである。皮革製品などは通気性が低いので有風時でも衣服内に作られた
空気層を保護し、保温性を発揮する。素材の表面が平滑な物ほど冷たく感じる。
逆に起毛素材は、接触冷感が小さいので冷たく感じない。服の暖かさは、生地の厚さ、含気量、
通気性(風速)、熱伝導率等に影響されるが、主役は空気という断熱層なのである。
科学的な裏付けと同様に、作り手、贈り手の愛のこもった服(物)は身につける人の心を暖かく
してくれることもお忘れなく。
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